政策的に育休取得が後押しされている

前記事(女性の両立意欲は上昇。両立支援は出産を機とした離職防止に直結する)で取り上げたように、妊娠出産を理由とした離職は減少傾向にあります。

その背景の一つには育児休業制度の整備率が上昇したこともあるでしょう。5人以上30人以下の企業でも、2016年には76.6%が整備しています。

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(引用)厚生労働省「平成 28 年度雇用均等基本調査

2017年11月には改正育児・介護休業法が施行され、育児休業期間が最長2年までと延長されました。

地方自治体の施策にも変化が出ています。「保活」激戦区とされる杉並区では、保育園の入所選考において、2019年度から認可外保育園等への入所期間による選考ポイント加算を順次廃止し、代わって育児休業期間による加点を行うことを発表しました。認可保育園の入所のためには、認可外保育園に預け育休から早期復帰することより、育休期間を長くとる方が有利となったのです。

このような制度的・政策的な後押しを受け、育児休業の長期取得者が増えていくことが予想されます。

育休中の不安は多い

一方で、育休中に不安を感じる女性は多いようです。第一生命経済研究所の調査によると、育休利用経験のある女性の約80%が復帰後の両立に不安を感じ、59%が職場復帰そのものに不安を感じています。

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(引用)株式会社第一生命経済研究所「女性の継続就業に関するアンケート調査」2014年

育休中に両立への不安を感じることは、復帰に対するモチベーションの低下、ひいては復職後のパフォーマンスの低下につながることが予想されます。

産後の女性支援を行うNPO法人マドレボニータは「企業の課題感は『育休をとって復帰する』ことから『復帰後の働きかたの質』へと移ってきている」と指摘しています。(1)

育休中の会社とのつながりが育休取得者の不安感軽減につながる

では、組織として育休中スタッフの不安感を軽減する必要はあるのでしょうか。また、軽減することはできるのでしょうか。先の調査では、育休中の会社からのサポート・コミュニケーションの状況による、育休取得者の不安感の差を調査しています。

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(引用)株式会社第一生命経済研究所「女性の継続就業に関するアンケート調査」2014年

会社からの定期的な連絡など会社との接点は、不安の軽減に効果的であることが読み取れます。また、研修や通信教育の受講といった能力開発も効果的であることが伺えます。

また同調査では、育休利用経験のある女性の約90%が育休期間中の職場からの情報提供を必要と回答しています。

育休取得者と組織のコミュニケーションは双方にメリットがある

今後、育休期間が長期化することが予想される中で、スムーズな復帰に向け、そして復帰後のパフォーマンスのためにも、育休中の会社とのコミュニケーションは重要と考えられます。

特にNPOにおいては人員不足等により、育休取得者の早期復帰を希望するケースもあるでしょう。育休取得者とコミュニケーションを取っていく過程で団体の状況や要望を伝え、可能な範囲から復帰を促す方法もあるでしょう。(現在、制度的には育児休業給付金を受け取りながら短時間の勤務が可能となっています(2))

育休中スタッフへのフォローは、コストや制度変更を伴わず可能なことが多くあります。妊娠~産休~復帰までの対応フロー整備など取り組むべき事項などもありますが、まずは育休中のスタッフに月例ミーティングの内容を共有するなど、すぐに取り組める部分から進めてみてはいかがでしょうか。

(一般社団法人RCF 中澤裕子)

(1)内閣府「社会的インパクト評価の実践による人材育成・組織運営力強化調査 <別冊3>特定非営利活動法人マドレボニータ インパクトレポート」(2017年)
(2)厚生労働省ホームページ(リンク先Q8、9)参照。運用にあたっては社労士、ハローワーク等へご確認ください。

■参考文献
山口理栄、新田香織「子育て社員を活かすコミュニケーション」労働調査会 、2015年