出産後の就業継続意向は高まりをみせている

近年、待機児童問題の高まりや、周囲の状況などから、結婚や出産などライフステージの変化を迎えても就業継続を希望する、また実際に継続している女性が増えていることを、肌感覚で感じることが多いのではないでしょうか。

厚生労働省による2002年(平成14年)と2012年(平成24年)の比較調査では、独身女性の出産後の就業継続意欲は、10年間で「出産した後も続ける」の割合が13.8ポイント高くなり、「出産を機にやめる」の割合は17.6ポイント減少しています。記事3-1

(引用)厚生労働省「21世紀成年者縦断調査(第4回21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)及び第14回21世紀成年者縦断調査(平成14年成年者)の概況)」(2016年)

また社会的な意識の変化もあります。女性の出産育児ステージにおける働き方について、子どもを育てながら就業継続することがよいと考える人が1990年代以降男女ともに増加しています。(1)

約半数が出産を機に離職。理由には「両立困難」

このような背景などを受け、出産後の就業継続割合は年々高まっています。しかし近年においても第1子出産前に就業していた女性のうち46.9%が出産を機に辞職しています。記事3-2

(引用)国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」(2015年)

なぜ、離職してしまうのでしょうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティング(厚労省委託調査)によると、出産を機に退職した正社員では、自発的な家事育児への専念(29.0%)に次いで、25.2%が両立困難をその理由に挙げています。

記事3-3

(引用)三菱UFJリサーチ&コンサルティング(厚労省委託調査)仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業報告書(労働者アンケート)」(2015年)

「両立困難」の具体的な理由とは?

同調査では、「両立困難」に回答した人の退職理由として、正社員では「勤務時間があいそうもなかった」(56.6%)、「自分の体力がもたなさそうだった」(39.6%)、「職場に両立を支援する雰囲気がなかった」(34.0%)などがあげられています。記事3-4

(引用)同上

また、内閣府が実施した別の調査では、第一子出産後、就業継続を希望していたにもかかわらず離職した女性が勤務継続のために必要だったと思うこととして、保育園の整備に次いで、職場の両立支援制度の整備や休暇の取りやすさが続いています。

記事3-5

(引用)内閣府「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」(2014年)

両立支援の取り組みは出産を機とした離職防止につながる

これら調査結果と、女性自身の両立意識の高まり、また社会的にも両立を支持する意識が高まっていることを踏まえると、短時間勤務など「両立支援制度の整備」、休暇の取りやすさや長時間労働の改善など「働きやすさの改善」、両立を支える「職場風土の醸成」といった両立支援の取り組みは、出産による離職防止に直結することが考えられます。

出産を機とした離職を防ぐことは、将来的な組織基盤の安定、ノウハウの継承や人材の育成に直結するだけでなく、先の記事(今、両立支援を進めることが、若年層の離職防止に効果をもたらす)で取り上げたように、この先両立ステージに立つ若手人材の離職防止にも影響を与えると考えられます。

まずは自団体における両立課題を見つめ、団体のビジョンと照らし先順位を決め取り組みを進めていくことが肝要でしょう。

(一般社団法人RCF 中澤裕子)

■出典

内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 平成29年度版」(2017年)