「20代後半の伸び盛りのスタッフが、ここで働き続けられるイメージが湧かないといって離職していく。スタッフが、結婚出産しても働き続ける姿をポジティブに想像できるようにしたい。」

私たちの主催するNPO向け支援プログラムにご応募された、あるNPOの人事責任者がおっしゃった言葉です。

長期的な人材確保や管理職育成を視野に採用し、手間と費用をかけて育成してきた若手人材が退職していくことは、とりわけ心苦しい課題です。

しかし、この課題はNPOに特有の課題ではありません。

若年層の働きやすさへの関心は高い

厚生労働省が2017年1〜6月に新たに仕事に就いた人や仕事を離れた人の状況を調査した雇用労働調査(1)では、前職の退職理由として、男性は「定年・契約期間の満了」(16.5%)に次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(12.8%)、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(14.3%)がトップとなっています。

このうち25~29歳では、男女ともに「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(男性15.9%、女性21.5%)がトップであり、他年代と比較し選択の割合が高くなっています。(「その他の理由」を除く )

図1
厚生労働省「雇用動向調査結果 平成29年上半期」(2017年) 表6より筆者作成

働きやすさは転職理由と関連があり、特に若年層でその割合が高まっています。

若年層は今の子育て世代の姿から将来をイメージしている

子育てと仕事の両立可能な社会の実現を目指すスリール株式会社が出産未経験の20〜30代有職女性を対象に実施した調査(2)では、約80%が現在の仕事が充実している、67%がマネジメントを経験してみたいと回答した一方、93%が仕事と子育ての両立を不安に感じた経験を持ち、約50%が仕事と子育てへの両立への不安が原因で転職/退職を考えたことがあると回答しています。

両立に不安を感じる原因は「会社の中での働き方・育児中の社員を見て」が73.3%を占めています

図2

(引用)スリール株式会社「両立不安白書」(2017年)

今、子育てと仕事の両立に直面している人の姿を見て、自身はここで両立可能かを検討する様子がうかがえます。

今、両立支援に取り組むことは、若年層の離職防止につながる

2016年に女性活躍推進法が施行され、女性登用の数値目標を含む女性活躍推進に向けた行動計画の策定と公表、子育てなど家庭生活との両立への配慮など、雇用主による女性活躍の推進が大企業で義務化されました(中小企業では努力義務)。今の20〜30代は仕事と育児の両立が一般的となる最初の世代であり、また大企業での早期退職制度の導入や兼業・副業の解禁など、長期雇用を前提とした雇用環境がシフトチェンジしている中で、それぞれがキャリアプランやワークライフバランスを模索している状況が伺われます。

両立支援は当事者に必要なだけでなく、この先両立ステージに立つ若手人材の不安の軽減や離職防止につながると考えられます。

若年層の離職は、ノウハウの継承や将来的な管理職の育成・確保に直結し、組織基盤の確立や組織の競争力強化に影響を及ぼします。

若手スタッフを多く抱える団体では特に、現時点での両立当事者の多少にかかわらず、早急に両立の取り組みを始める必要がありそうです。

(一般社団法人RCF 中澤裕子)

 

■出典
(1)厚生労働省「雇用動向調査結果 平成29年上半期」2017年
(2)スリール株式会社「両立不安白書」2017年